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第2撃~総天然色! ミナミのうどんはシチュー入り

私たちは新世界にいた。串かつ、どて焼き、ミックスジュース。事前にリサーチしていた新世界にある「ジャンジャン横丁」のうまいもんは大半を制覇し、あとはオーラスを迎えるばかりになっていた。

横丁では名物の串かつ屋に並ぶ、グルメめぐり好きのカップル以外は、おっちゃんばかり、一体どっから湧いて出たのかというくらいに集まっている。100メートル足らずの横丁の間に何軒もある碁会所などは、当然おっちゃん率100%である。こんな場所は東京では浅草六区くらいではなかろうか。ディープさでは肩を並べる場所かもしれない。

「トゥチャンもボッチャンも娯楽場」と書いてある1ゲーム50円のゲームセンターを通り抜けると、「いづみ」と紺地に白で染め抜かれた暖簾のかかる店がある。実は今回この店で、同行の友人をちょっと困らせようという作戦でつれてきたのだ。

友人は席に着くと、メニューは・・・と壁に掛けられた品書きを見ていた。すると案の定、あるメニューで友人の目が留まった。

「シチュウーうどん」。

にっしっし。どう発音するかね。そしてそれはどんな味だと思うかね。いたずらっぽく友人を見ると、困った顔をしている。いつも期待に応えてくれるいい友人だ。

観念したらしかったが、やっと奥から出てきたおばちゃんには「しちゅぅーうどん」と微妙に語尾を濁した注文。ちぇっ、煮え切らないヤツ。

出てきたシチュウーうどんは、想像していたものとは全く違った。クリームシチューかと思っていたら、半透明のポトフ風のスープに、大きなじゃがいも、たまねぎ、牛肉がドカンと入っている。うどんはじゃがいもが大きすぎて見えない。

「テーブルの山椒を好みでかけてね」とおばちゃんに言われるままにそれを試す。

「ずずー。・・・ずずー」

私「・・・うまいやん」

友人「うん。ほっこり家庭の味やね」

串かつ、どて焼きでコッテリっ腹になった後の、〆にしてはちょっと多めだが、満足して店を出た私たちは、再び新世界を徘徊することに。

新宿三丁目あたりでも見られそうな仁侠モノを上映する映画館の隣の映画館で、私は思わず足を止めた。

「無法野郎は俺が切り捨てる! 総天然色 『若様やくざ 江戸っ子天狗』!?」

往年の時代劇スター・大川橋蔵の映画をロードショーしているとは、なんて贅沢な街! というか、ここはいったい何時代!?

すこし頭がクラクラしてきた私の横で、しかし友人は別の方向を見ていた。その視線の先には・・・ピンク映画だ。

「恋人と一緒にああいう映画を観るのが夢なんだー」

うっ。新世界の空気にクラクラとなっていたところに、友人からの強烈なパンチであった。なんと返せばよいのだ。シチュウー作戦で困らせた罰なのか。なんと返したかはご想像にお任せします。

 


第1撃~白い犬! 募金するより勇気いる

その男は薄汚れた紺のジャンバーにジーンズをはき、南海難波駅前で新聞を売っていた。

「ビッグイシュー」という赤いのぼりをたてているから、そういう名前の新聞なのだろう。傍らには白い犬をはべらせている。

「動物でお客を釣って、新聞を売りつける魂胆だな。ああ、大阪はやっぱりこわい」

そんなことを思ってその場を離れたが、後日友人に聞いたところ、彼らは日雇い労働者たちで、この新聞社は、彼らの社会復帰のために、彼らの販売ルートだけで賄っている珍しい新聞なのだそうだ。

彼らはこの新聞を売ることで何パーセントかのマージンを得、それを貯めることで、実際に自身の生活をよくしていくことに成功している人もいるという。

もともとアメリカではじまった動きらしいが、日本上陸時に東京ではなく、この大阪という土地から波及したのは、やはり低所得者層の厚さと、それを憂う人々の多いためだろうか。

そんな話を知ってしまったからには、旅人としてはぜひ記念すべき品として求めようと、後日ふたたび赴いた。

しかし、グレーになってしまっている元白い犬は必死にしっぽを振り、ちょっと汚いオヤジさんは、売る気があるんだかないんだか、ボソボソ俯きがちに新聞を売っている。・・・・・・近づけない、どうしたって近づけない。

しかしここまで来たのだ。えぃっと硬貨を差し出し「い、一部下さい・・・」と言ってみた。

するとどうだろう。オヤジさんは「まいど」とにこやかスマイルで返してきたではないか。

「そっか、笑えたんだ・・・」

妙にそんなことで心が温まってしまい、いつのまにか緊張感は消え去っていた。

そんなオヤジさんたちは、その後もターミナル駅前や、オフィス街でよくみかける。大阪なら、南海難波駅前と、地下鉄本町駅の交差点が狙い目である。

そうそう。肝心の紙面だが、約1、2週間分の政治・経済・エンタメ情報などが盛り込まれている。特にハリウッドのゴシップ記事がカラーでバンッと載っているのは、アメリカ本紙とタイアップしているためか。なかなかにおもしろい買い物であった。

 


はじめがき。

みなさん、こんにちは。本日プレ開店の「EAST Meets WEST」は、関東育ちの「江戸っ子」が大阪で見聞きした「変」「うまい」「ありえへん」ものなど、ディープな大阪の一面をお伝えする不定期blogです。

 時折エセ大阪弁が混じることがありますが、それはウブな江戸っ子が大阪熱にあてられたものと思ってお楽しみくださいませ。

 処方といたしましては、大阪出張や関西方面への旅行前などにチェックしていただきまして、みなさまの旅を一味濃い~ものにしていただければ、この上もない悦びです。 それでは、ありそでなかった西方見聞録、はじまり、はじまり~(^^;)


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